真殿 琴子
研究テーマ
- オスマン朝におけるスーフィズム思想とその社会的影響
研究内容
- 15世紀から16世紀にかけて、イスラーム世界の中心として最盛期を迎えたオスマン帝国では、伝統的なイスラーム学の担い手であるウラマーたちのうちにも、スーフィー(イスラーム神秘主義者)である者が多く存在し、民衆の間でも著しくタリーカ(スーフィー教団)が普及した。オスマン朝治下の思想分析において、特に重要な人物が13世紀のスーフィー思想家イブン・アラビーである。彼の中心的な理論である、存在一性論や完全人間論は、オスマン朝期のスーフィーたちの間で形而上学的な思想展開が行われるのみならず、信仰実践や社会運動に取り込まれたことにより、絶えず「正統的な」イスラームとのあり方との狭間でその整合性が議論された。
オスマン朝期のスーフィズムに関する研究は、イスラーム思想研究の分野では比較的新しい分野である。オスマン朝治下の思想的営為をイスラーム思想史上に意義づけるべく、その主体となったスーフィーたちの思想を分析し、その影響力を考察することが本研究の目的である。
アンカラのハジ・バイラム・ヴェリーの聖者廟にて