南アジア・インド洋世界論講座

南アジア・インド洋世界論講座

    ヒマラヤ山脈以南、インド亜大陸と周辺島嶼部からなる南アジア。そして南アジア、中東、東アフリカ、東南アジアを深く結びつける環インド洋ネットワーク。いま、南アジアやインド洋世界への関心が世界的に高まっています。その大きな理由の一つはインド経済のめざましい成長です。インドは今世紀半ばには中国に次ぐ世界第二位の経済大国になるという予想もされています。また同じ時期にはインドが中国を抜いて世界一人口の多い国になると考えられています。インド洋は中東・アフリカ・東アジアとヨーロッパ・アメリカを結ぶ海上交通路でもあります。

    一方で、南アジア地域には世界の貧困人口の約半数と、栄養不良人口の約三分の一が住んでいるともいわれます。急速な自由化にともなう深刻な社会格差の拡大、それと密接に絡み合う食糧問題や環境問題、先端的な科学技術の問題、さらには災害や暴力紛争といったグローバルな課題が南アジア・インド洋世界で先鋭的に提示されています。

    貧困や紛争を抱えた南アジア地域の現実は多くの場合、外からの視点で、ネガティブに描かれてきました。さらにしばしばそのような視点からの記述は外在的な論理に基づいた問題解決策の提示へとつながっていました。しかし南アジア地域にはさまざまな諸問題に積極的に対応し、手探りや器用仕事をとおして解決を図ってきた人々の活動や制度があったはずです。アジア・アフリカ地域研究研究科では、これまでもフィールドワークを通して地域固有の論理や在地の知恵を理解するということを大事な目的とする地域研究が行われてきました。

    南アジア・インド洋世界論講座ではひきつづき地域の人々の言語や日々の営みを深く学び、地域の具体的状況に身を置いて考えるという姿勢を継承しつつ、さらに上に例示したような実践的でグローバルな広がりを持つ課題にもさらに深く取り組んで行ける視座を追求していきたいと考えています。そのためには、例えば、文化と自然、社会と環境、人とモノといったような二分法を乗り越えて、人やモノや言葉の複雑な絡み合いと通して生み出されて行く現実を捉えていけるような方法を模索するといった、方法論的・理論的努力も必要であると考えています。

    南アジア・インド洋世界からグローバルな課題への新しい視野を切り開いて行くという営為に学生の皆さんとともに取り組んでいきたいと思っています。


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