ようこそ!グローバル地域研究専攻へ

ようこそ!グローバル地域研究専攻へ

グローバル地域研究とは、地域研究をグローバルな視野のなかで考えていくという意味合いをもっています。もともと地域研究というものは、それぞれの地域の固有性を総合的・学際的に理解しながら、他の地域との比較をおこなうことで、地域の理解をより一層深めようという学問です。その意味で、地域研究は地域密着型という性質を強くもっています。

しかし、その一方で地域というものは、地域をこえたより広い世界とのかかわりのなかで多様な影響をうけてきました。とくにここ10年から20年の間に、他の世界から孤立しているような社会はほとんどなくなり、どの地域においても世界とのつながりが加速的に増しています。そのため、地域の固有性とともに、それがグローバル化とどのような関係にあるかということが重要な課題となっています。

グローバル地域研究専攻は、このように急速に進むグローバル化を考慮に入れながら、その上で地域のことを考えていく新しい「知の場」をめざします。もちろん、この専攻はアジア・アフリカ地域研究研究科のなかにありますので、アジア・アフリカという大きな枠組みを基礎にしながら、グローバルに、世界的に、現代的に諸問題を研究していくということになります。

グローバル地域研究専攻は、3つの講座からなっています。平和共生・生存基盤論講座は、人類が未だに解決できていない暴力の連鎖をいかにして食い止めるか、そして平和的に共生できる社会をどのように作っていくか、という難問に挑んでいます。世界各地で起こる紛争、紛争から生じる難民の問題、多民族・多宗教に属する人々が同じ地域で暮らすための多文化主義など、暴力と平和的共生は、現代社会においてもっと重要な課題であるといえます。

イスラーム世界論講座と、南アジア・インド洋世界論講座は、これまで研究科のなかで連環地域論講座としておこなってきたことをさらに発展させ、2つの独立した講座としたものです。そもそも、イスラーム世界やインド洋世界自体は、歴史的にもきわめてグローバルな地域、領域であり、これまでの地域密着型の中東研究や南アジアの研究のみならず、西アジアや南アジアに中心をもちながらアジアやアフリカなどに広域的に展開している諸問題も研究していこうということなのです。世界宗教として世界中に広がるイスラームの思想はそもそも地域の固有性を超えるような普遍性、グローバル性を内包した宗教だといえますし、南アジア地域出身の人々は東アフリカ、中東、東南アジアなど、インド洋の様々な場所へ商人、労働者、行政官などとして移住し、国民国家の境界を超えて様々なネットワークを形成してきました。イスラーム世界とインド洋世界は、今後も人口が増大し、日本においてもこれらの地域とのつながりはますます重要性を増していくことでしょう。

このような3つの講座からなるグローバル地域研究専攻は、それぞれの講座の独自性を生かしながら、演習などを合同で開催し、できるだけ一体として運用していこうとしています。また、これまで研究科で実施してきた文理融合型の地域研究、臨地研究の重視、1人ひとりのケアができる少人数教育、先端的な研究環境、3人の指導教員による研究指導などをさらに強化し、院生それぞれのニーズに合った大学院教育をおこなっていきます。

2025年度グローバル地域研究専攻長
池亀 彩

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