岡田弥生
研究テーマ
現代インドにおける手紡ぎ手織り布カーディーに関する人類学的研究
研究内容
マハトマ・ガーンディーと聞くと、どのようなイメージを持つでしょう。インド独立の父とも言われるガーンディーが現代のファッションにも影響を与えているというと少し意外かもしれません。
ガーンディーとファッションを繋ぐのは、「カーディー(Khadi)」という手紡ぎ手織りで作られる素朴な布です。カーディーはガーンディーが独立運動の中で当時廃れていた手紡ぎの技術を復興することで生まれました。インドは古くから染織大国として知られ、布地は国の経済を支える輸出品でした。ところが、イギリスで起こった産業革命と植民地支配によって、安価な機械製の布が普及し始めると、インドの繊維品産業はたちまち衰退してしまいました。そこで、ガーンディーを含むインド独立運動の主導者たちは、インド産業の復興が植民地支配から脱却するための一つの術だと考えました。ガーンディーが特にカーディーに独立への活路を見出したのには、いくつかの理由があります。主なものを挙げると、糸紡ぎが職を求める人々に仕事を与え、インドに蔓延る貧困への対策となると信じたため、また、外国製の機械製の服を買うのではなく自分の服は糸から自分で作ることで国民一人一人の、ひいては国家の独立へと導くのだと考えたためです。
私の研究の目的は、カーディーが現代のインドでどのように受け継がれているかを探ることです。現代のインドでカーディーはしばしばサステナブルな布、ファッションとして扱われ、社会の変革の原動力としてみなされています。私はその点に関心があり、カーディー発祥の地でもあるインドのグジャラート州を主な調査地としています。カーディーを取り巻くコミュニティーにカーディーがどのような変化をもたらしているかについて、グジャラート州でカーディーの生産に携わる政府機関やNGO、職人、デザイナー、活動家にインタビューを行い、モノに触れ、時には一緒に糸を紡ぐことで、現代におけるカーディーの意味を捉えようとしています。
写真上:糸紡ぎを行う様子
写真下:プチチャルカと呼ばれる持ち運び式の紡ぎ車




岡田 弥生 
